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マイアミビーチの上質が香る
アールデコ地区の至宝
マイアミ・サウス・ビーチは、世界中から観光客が夏を楽しみに訪れるリゾートです。1930年代のアールデコ建築が並ぶオーシャントライブとオーシャンコートの2つの通りに集中して歴史地区になっています。その中でも最も歴史的価値のある建物の一つがベッツィホテルです。
ビーチパークに面した白亜のホテル
アールデコ建築の巨匠、ローレンス・マレー・ディクソンが設計し1942年に竣工されたのがベッツィーの始まりです。ジョージ王朝様式のホテルで、アールデコデザインがマイアミを席巻する中で、その代表的建築家があえて他のホテルと一線を画し、歴史とアールデコの融合を目指したとのこと。
大きな修復も済ませ、隣接するカールトンホテルとの統合を経て、2016年12月にリニュアルオープンしました。インテリアは、ラルフローレンの私邸を担当したディアマンテ・ペデルソーリで、ロビーはベネチア様式の明るい雰囲気に仕上がっています。
加えてホテルをより魅力的にしているのが、自らがアート震源地として、アート、文学、音楽など幅広いイベントを積極的に運営・サポートし、文化的な存在を担っている事でしょう。スタッフのおもてなしは日本をはるかに超える丁寧さでした。
イブニングタイムのテラス席
ホテルの廊下はギャラリーのようです
文化の発信地ベッツィロビー
ベッツィが特別なのは、単なるホテルとしての快適さ以上の追求していることでしょう。マイアミサウズビーチ、アールデコ地域の文化、アートを牽引する存在担っていました。ホテルのロビーでは週に2回、無料のジャズライブが行われて、新進ミュージシャンの登竜門になっています。そこではトロピカルジャズと呼ばれる新しい音楽が生まれつつあります。加えて広くつくられているホテルの廊下はギャラリーのように、様々なジャンルのアート写真が並び、気に入ったものは購入することも可能です。
また多くのアートイベントの会場として、スペースを提供したり、スポンサーになったりと、アートと共に過ごす事が出来る空間です。そしてベッツィオーブと呼ばれる、ベッツィロスと旧カールトンホテルを結ぶ空中廊下は、マイアミビーチの観光名所になっています。
別荘のように静かに過ごす
アートの発信地であるベッツィには多くの人が訪れます。滞在していた時もレセプションに人が見えないというときは一度もありませんでした。にもかかわらず客室のエリアは非常に静かでした。これは目の前がビーチパークであり、その最も北側ということが上げられます。
1ブロック西に行けばエスパニョーラ・ウェイなどは毎晩深夜までパーティが行われているエリアですが、その喧騒をたのしみつつ、ホテルに戻れば包み込むようなマットレスと、南国的なインテリアの空間で静かに眠ることが出来ます。
マイアミビーチの観光名所でもある2つの建物をつなぐベッティオーブ
マイアミビーチも自分の場所になります
砂浜でのんびりすることは必須です。大西洋に面したエメラルド色の海には、1ストリートごとに形も色も違う、カラフルなライフガードタワーが建っていて楽しめます。
ベッツィのプライベートビーチは14thタワーのやや北にあります。白と青のストライプが鮮やかなパラソルとビーチチェアが海に映えます。手前のKIOSKで部屋番号を伝えると、空いているデッキチェアにタグを付けてくれます。チェックアウトまでの間自由に使えるプライベートチェアです。
旅で外せない美味しい料理を
宿泊中、一度は試してみたいのがLTステーキ&シーフード。スターシェフ、ローラン・トゥーロンデルがプロデュースするレストランです。名前の通りステーキとシーフードがメインのレストランですが、世界中のレストランで働いたシェフの経験を生かしたボーダーレスなキュイジーヌが魅力的です。
とはいいながら、ピザが絶妙においしかったです。加えてお通し(アメリカなので、意味は違うと思いますが)で出てきたポップオーバーが絶妙においしかったです。添えられたクリームバターをたっぷりと付けて食べると、それだけでも幸せな食事になりました。
そして朝食。テラスで行き交う人を見ながらの食事も、気持ちの良いものです。料理は食べきれないほどのボリュームでした。「こりゃ食べきれないなー」と話すと、「持ち帰りの箱あるわよ」と笑顔のウェイトレスさん。豪華とエコが両立されているのは好感が持てました。
ボリュームある朝食、食べ切れなければ包んでくれる
ベッツィは気軽に泊まるというクラスのホテルではないですが、最高のマイアミを体験するには最適のホテルでした。何よりも心地よかったのはスタッフの対応です。
ロビーでフラッと立っていれば「何か役に立つことある?」と聞いてくれますし、本を読んでいれば静かに放っておいてくれます。日本人がイメージするアメリカのサービスはマックのようなマニュアル的なものですが、実はアメリカの高品質サービスは日本の遥かに上を行くように感じました。相手の様子を見て友人のように気遣いしてくれるのは、仕事以上の気遣いがなければ出来ない事ですが、この体験はおおきな驚きが詰まっていました。