カプリ
イタリア
ヨーロッパ
ローマ皇帝が愛した島。カプリでは、人は鳥のように暮らせる。
どうしようもなく碧い海と、どうしようもなく蒼い空の間に雲がぽかりと浮かんでいた。夜明けとともにナポリを出発したフェリーでカプリに着く。高さがおよそ300mの切り立った崖をローカルバスはアナカプリへ向けて上る。南の島のような抜ける青さでははなく、遠浅の砂浜の緑から蒼いグラデーションでもない。東と南がサルディーニャ島とシチリア島で和らげられたティレニア海の穏やかな風は、鳥が飛ぶ高さの視点と、穏やかにそよぐ空気をカプリに与えた。誰かが「ナポリを見て死ね」と言った。「カプリで過ごして死ね」と自分は言いたい。